12級 幼稚園・保育園 裁判 足・足指 骨折
保育園での三輪車使用時に、足指の開放骨折という大怪我を負った事案で、裁判を行い後遺障害等級12級・和解金1600万円を獲得した事例
学校事故被害者Aさん(3歳)

今回ご紹介するのは、保育園の管理体制に問題があり、足指の開放骨折という大怪我をしてしまった被害者Aさん(3歳)の解決事例です。
ご依頼を受けた弁護士の大澤健人は、
裁判を行って後遺障害等級12級を認めさせ、和解金約1600万円を獲得して解決しました。
弁護士はどのように本事案を解決したのでしょうか?
学校事故被害者専門弁護士が解説します。
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事案概要

事故状況・怪我の状況
事故状況:保育園の園庭、三輪車乗車中
傷病名:右母趾末節骨開放骨折
本件事故は、保育園の園庭にて、3歳のAさんが裸足で三輪車に乗って遊んでいたところ、タイヤとフロントフォークの間に足の親指が挟まって巻き込まれ、大怪我をしたというものです。
指はほとんど離断に近い状態で、緊急手術で縫合してつなぎ合わせており、かなり痛々しい状況でした。
Aさんが裸足だったのは、この保育園で、常に園児を裸足で過ごさせるという方針がとられていたからでした。
しかし、三輪車には裸足での利用を禁止するマークが記載されており、また三輪車の対象年齢は4歳以上となっていました。
事故後の困難
事故当初は事故状況がはっきりしておらず、他の園児と衝突した可能性も浮上しました。
しかし、事故状況を確認しようと思っても、園内の防犯カメラには事故の様子が映っておらず、保育園に事故報告書などの開示を求めても応じてもらえない状況でした。
加害者名を聞いても教えてもらえず、傷害保険の申請にも協力していただけませんでした。
Aさんは歩行障害が残るかもしれないといわれている状況にもかかわらず、園側がこのような不誠実な対応でしたので、ご両親様は、園に対する不信感や疑念を募らせていました。
また、Aさんは怪我により登園できないため、両親は自宅付添のために仕事も休業せざるを得なくなりました。
治療費も園が支払いをしてくださらなかったため、経済的にも厳しい状況に置かれてしまいました。
そうした状況で、ご両親様は怪我に対するショックや今後に対する不安、保育園に対する強い怒りを抱えており、事故の翌日には色々な法律事務所に相談を始めました。
その中で、弊所にもご連絡をいただきました。
弁護士大澤健人の法律相談

本件では、まず保育園に責任を認めさせられるかが問題となります。
法律相談に当たり、事前に弁護士が判例調査を行いましたが、保育園での三輪車事故での裁判例は見当たりませんでした。
そこで、①裸足で普段から過ごさせることの危険性 、②用具の使用方法に関するルール設定や周知の懈怠、③動静把握義務・見守り義務という、3つの構成から戦ってみることを案内しました。
特に、①②の構成が重要になると考えられました。
これらを主張するにあたり、まずは防犯カメラの映像の保全や事故報告書の取得、三輪車自体の現物確認や現地調査、メーカーの資料取得などを行っていくことになります。
そして、Aさんが治療を続け、完治するのか後遺障害が残ってしまうのかがはっきりした時点で、保育園に対して賠償請求を行う方針になります。
また、並行して利用できる傷害保険がないかの確認もしていきます。
法律相談では上記についてご案内させていただいたところ、複数の法律事務所を比較検討したいということで一旦ご相談は終了となりました。
その後、対応する人がどのような人なのか、信頼して任せることができるか、直接会って確認したいとご連絡をいただき、対面で再相談を行いました。
その結果、小杉法律事務所なら信頼して任せられるというお言葉をいただき、ご依頼いただけることになりました。
受任後の動き

ご依頼を受けた弁護士は、まず保育園に受任通知を送り、資料開示を求めました。
現地調査も実施し、三輪車の現物と事故現場の確認、監視カメラ映像の確認なども行いました。
先方にも代理人弁護士が就いたため、その直後から責任論について相手方代理人と協議を行いました。
すると、すぐに保育園側が責任を認め、責任部分については争いはなくなりました。
これにより、ご両親様にもご安心いただくことができました。
今後は、金額面の交渉がメインとなり、特に後遺障害が残存してしまった場合に、逸失利益をどれくらい獲得できるかが重要になると考えられました。
責任を認めていただき、内払いも開始して一安心かと思っていたところ、今度は別の問題が生じ始めました。
病院側が、指の異常を見抜けず、腫れがひどい状態なのに対応してくださらないといった事態になったのです。本件では、転院をしても賠償上問題なかったため、別の病院に行っていただくことになりました。
また、保育園に再登園の交渉を行ったところ、歩行に難がある児童を個別に見守るなどの配慮はできないと言われ、退園を迫られる事態となりました。
このように、一つが解決すると別の新たな問題が生じる状況が続きましたが、一つ一つの出来事に対して、ご依頼者様と弊所が一丸となって対応していきました。
後遺障害が争いになり裁判へ

Aさんは、その後も治療を継続しましたが、爪や骨の変形、痛みなどを残して症状固定となりました。
また、Aさんは本件事故で骨端線を損傷していました。
骨端線は子どもの骨の成長をつかさどる部分であり、ここを損傷すると骨の成長が止まってしまう可能性があります(骨端線早期閉塞)。
そうなると、将来的に、他の指に比べて親指だけ成長せず小さいままといったことが起きる可能性があります。
そこで弁護士は、この骨端線の早期閉塞と、開放骨折による骨の変形という所見があることから、客観的に見ても痛みが残っていることが明らかだと指摘し、神経症状(痛み)による後遺障害等級12級を主張しました。
今回は、学校事故におけるスポーツ振興センターのような、等級認定をしてくれる中立機関はありませんでした。
そのため、相手方保険会社によって後遺障害等級の審査がなされましたが、相手方保険会社は後遺障害等級12級を認めませんでした。
開放骨折という大怪我をしており、骨の変形の異常所見も確認されている状況にもかかわらず、等級認定しないという判断は不当だと考えた弁護士は、ご両親様に訴訟を提案しました。
ご両親様としても、「これまでの園の対応には許せないことが多かったので徹底的に戦いたい」というご意向でしたので、裁判で徹底的に戦い抜くことになりました。
裁判を行い、和解金約1600万円で解決

裁判では、後遺障害等級と逸失利益が主な争点となりました。
後遺障害等級について
弁護士は当初、①骨端線早期閉塞による骨の成長停止に伴う骨の変形と、②骨折自体による骨の変形の、両方を理由として後遺障害の主張を行っていました。
しかし、訴訟途中で①骨端線の早期閉塞が改善し始め、骨の成長停止の心配がなくなりました。
そこで、②を中心とした主張に切り替えることにしました。
医師面談を実施したところ、Aさんの症状について以下のことがわかりました。
- 開放骨折で損傷した場所が、爪の細胞を作成する部位と一致しているため、爪の変形は将来的にも回復困難である。
- 骨の変形も上記と同じ部分に生じており、その部分は爪がなく皮膚も薄いので、圧がかかると痛みが出る。
このように、医師面談で症状のメカニズムが確認できましたので、これらを医師意見書としてまとめ、裁判で証拠として提出しました。
レントゲンではなく、医師に作成していただいた立体図を添付したところ、裁判官にも伝わりやすく、ご納得いただけた様子でした。
この状況を見て、被告はそれまで否定していた後遺障害等級12級を受け入れ、被告側から和解金額を提示いただけることになりました。
金額の交渉経過について
訴訟途中では、労働能力喪失率の立証として、Aさんが歩行して痛がっている様子を動画で提出するよう被告から求められました。
しかし、痛がっている様子を動画で撮影しろというのは、あまりに不当な主張です。
精神的苦痛を与える行為を行わせることにもなりますし、痛みが出ないようにかばって歩くため提出する意味もありません。
その旨強く抗議し、求釈明は取り下げさせました。
このように、相手方や裁判所の心無い対応に対しても、共に戦っていきました。
被告からの初回の提示金額は約650万円で、逸失利益の労働能力喪失期間が10年のみであった上、慰謝料も低い基準で計算されていました。
そこで当方からは、逸失利益を67歳までの期間とし、慰謝料も高い基準に修正した約2000万円を提示しました。
すると、被告が67歳までの逸失利益を認め、約1600万円で再提示してきました。
和解するかはかなり悩みどころであり、判決も見据えた進行を考えていましたが、
判決となると裁判官が労働能力喪失期間を10年と判断して金額が下がってしまう恐れもありました。
そこで、ご両親様とも協議の結果、約1600万円で和解することになりました。
やっと解決に至ることができ、ご両親様にもご安心いただけたようでした。
弁護士大澤健人のコメント

本件は、医師の意見書によって痛みや神経症状が生じる医学的な機序を明らかにしたことで、後遺障害等級12級が認められ、適切な賠償に導くことができた事案でした。
今回のように、神経症状では単に症状を主張するだけではなく、なぜその症状が生じるのか、その機序について医師の意見をしっかりいただいたうえで進めることが重要です。
また、学校事故では、お子さまが同じ園や学校に通い続けることが多く、解決後も相手方との関係が継続していきます。
そのため、損害賠償だけでなく、その後の園生活についても考慮しつつ、支援していくことが大切だと考えています。
足の指は、歩く走るといった日常動作はもちろん、将来どのようなスポーツする際にも、身体を支えて踏ん張るために、重要な役割を果たします。
これから成長する中で、さまざまなスポーツを楽しむなど、多くの可能性を秘めているお子さまにとって、
その将来の選択肢に影響を及ぼし得る後遺症が残ってしまうことは、ご本人様はもちろん、ご両親様にとっても本当に苦しい出来事だと思います。
そうしたご両親様のお気持ちにも寄り添い、相手が後遺障害を認めなかった際も決して諦めることなく本件に向き合い、共に闘ってまいりました。
そのため、この度ご家族様の納得のいく形で解決に至ることができ、私共も心より安堵いたしました。
弊所は被害者専門の法律事務所として、様々な学校事故事案を専門的に取り扱っております。
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