Flow 学校事故の発生から
解決までの流れ

適正な慰謝料・賠償額を得るために
「早めの行動・相談」がポイント。

死亡事故の慰謝料・損害賠償は刑事裁判がキーとなる

学校事故発生から解決まで 1

学校事故の解決までの流れ

学校事故の解決までの流れ 学校事故の解決までの流れ

(1) 学校事故の発生

学校事故の発生

学校事故発生時のポイントは3つです。
なお、本ページでは、学校事故でお怪我をされてしまったというケースや後遺症が残ってしまったというケースを軸に説明しております。お子様が死亡事故被害に遭われてしまったという場合はこちらのページをご覧ください。

ポイント 1

すぐ病院に行きましょう

救急搬送されなかったとしても、痛みやしびれなどを感じる場合は、すぐに病院へ行きましょう。
放っておけばいずれ良くなるだろうと言って病院に行かない方がいらっしゃいますが、思ったとおりに良くならなかった場合、しばらく経ってから病院に行ったとしても、治療費を払ってもらえなくなってしまいます。
また、学校事故で痛みを感じた場合に請求できる慰謝料も、すぐに病院に行かなかった方は請求できなくなってしまうことがあります。
すぐに病院に行かなかった場合は、慰謝料がいくらもらえるかという金額の話に移る前に、そもそも事故と通院との因果関係が無いと判断されてしまうのです。
因果関係がないと判断されてしまうと、治療費、通院交通費、慰謝料など一切の損害賠償請求が認められなくなってしまいます。
まったく症状がなく無傷なのであればいいのですが、どこか身体に異変がある場合には、小さな異変であっても、すぐに病院へ行くようにしてください。

ポイント 2

学校に報告をしましょう

学校管理下の活動中(遠足・修学旅行など校外活動を含む。)や通学中に、事故・事件に巻き込まれた場合、いじめ被害に遭ったなどのトラブルが生じたら、必ず学校に報告してください。
学校は事故があると、教育委員会に災害報告書を提出し、これによって日本スポーツ振興センターより治療費などが支払ってもらえることになりますし、事故の事実が公的に証明されることになります。

ポイント 3

早めに弁護士に相談しましょう

学校事故発生後の初動でミスをしたために、適正な慰謝料などの賠償金を受け取れなくなってしまうなどの問題が発生することが多々あります。

病院での対応を間違えると、後々の慰謝料請求額などに大きな違いが出てしまいます

学校事故の発生から初診までの期間が開いてしまうと、因果関係が否定され、一切の損害賠償請求ができなくなってしまうおそれがあることは先ほど述べたとおりです。
また、学校事故の発生後すぐに病院には行ったが、診察する科を間違えてしまったという場合も、将来請求する慰謝料額が減らされてしまうことがあります。
例えば、学校事故の後に耳鳴りがするようになったという方は、本来耳鼻咽喉科に行かなければなりませんが、それを知らずに整形外科に行き続けてしまうと、耳鳴りの症状が残ってしまったとしても、耳鳴りの症状に対する賠償が受けれなくなってしまうおそれがあります。
また、事故の恐怖から、事故の時の夢にうなされるといった症状が出た方は、本来心療内科や精神科に行かなければPTSDの診断を受けることができませんが、それを知らずに整形外科に行き続けてしまうと、フラッシュバックなどの症状が残ってしまったとしても、その症状に対する賠償が受けれなくなってしまうおそれがあります。
他にも、中心性脊髄損傷など早期にMRI撮影をしなければ、脊髄損傷の所見が確認できなくなる可能性のあるケースなど、学校事故発生直後に撮影しなければならない画像や、検査の実施が必要な神経学的所見というものが存在します。
こうした判断は学校事故に関する専門的知識を有した弁護士でないと難しいので、まずは、こうした事態にあたるのか否かも含めて弁護士に相談されることをおすすめします。

ご相談の流れはこちら >>

(2) 治療期間中のポイント

治療期間中のポイント

治療期間中の動きは、今後の慰謝料額などの損害賠償を考える上で、とても重要です。

ポイント 1

通院頻度は慰謝料額に影響します

弁護士法人小杉法律事務所では週2~3回程度のリハビリ通院をおすすめしています。 弁護士に依頼した場合、慰謝料額は裁判基準となりますが、週1回以下の通院頻度の場合、裁判基準満額の慰謝料額を得られなくなってしまうことがあります。 ただし、骨折の治療、眼科治療など週2~3回の通院が必要ではない診断名の場合もありますから、その場合は、治療期間が長期になりすぎないことと、定期的な通院(月1回など)を心がければ、慰謝料額を減らされずに済むこともあります。 慰謝料算定は様々な要素の総合考慮で判断される非常に難しい損害費目ですので、慰謝料額が気になる方は、学校事故被害者側専門の弁護士に相談されることをおすすめします。

慰謝料算定の詳細はこちら >>

ポイント 2

通院の仕方は後遺障害等級に影響します

日本スポーツ振興センターは後遺障害等級の審査の際に通院の仕方も見ています。
神経症状(痛みやしびれ)の場合、週2~3回程度の頻度で通っていた方が、後遺障害等級が認定されやすくなります。
逆に、通院頻度が少ない場合や、通院の間に数週間以上の空白期間がある場合は、後遺障害等級が認定されにくくなります。
これは診断名や症状によっても異なりますが、後遺障害等級は治療中の過ごし方、通院の仕方などによって差が出ますので、早めに学校事故被害者側専門の弁護士に相談することをおすすめします。

ポイント 3

整骨院・接骨院での施術に注意

整骨院(接骨院)は、土日や夜間も営業しているところが多く、整形外科よりも通いやすいことが特徴です。
また、施術も、整形外科のリハビリよりも丁寧なところもあります。
従いまして、整形外科のリハビリよりも、整骨院の施術をしたいという被害者の方も多いと思います。
ただし、整骨院の施術の場合、施術費全額の支払いが認められないケースがある(=一部自己負担になってしまう)など、リスクを伴います。
また、整形外科のリハビリに通っていた方が、後遺障害等級が取りやすくなるという特徴もあります。
もちろん整骨院の施術の必要性・相当性・合理性が認められるケースもありますが、どのような場合に整骨院施術が認められるのかについては、学校事故被害者側専門の弁護士に相談した方が良い事柄といえます。

ポイント 4

医師への症状の伝え方に注意

診察やリハビリの際に、お医者さん・理学療法士さん・看護師さんに症状を聞かれると思いますが、その時の回答にも注意が必要です。お子様の通院に保護者様が付き添われている場合は、事前にお子様の症状を把握したうえで、診察時のお子様の反応を注意深く見守ってあげてください。


NG1「先生のおかげでだいぶ良くなりました」と伝えること

本当によくなっているのであれば、素直にそう伝えてもらっていいのですが、まだ症状が良くなっていないにもかかわらず、先生のおかげで良くなったと話してしまうと、診断書やカルテにその旨書かれてしまい、それが将来の障害等級認定や示談交渉・裁判の際に不利な証拠として働いてしまいます。
例えば、首の痛みが残ってしまったために後遺症の主張をするというケースにおいて、治療期間中に「だいぶ良くなった」と本人が言っている旨の記載が診断書やカルテに残っていると、この時だいぶ良くなったと言っているから、後遺症は残らないような症状だったと認定されてしまったり、治療費の打ち切りが行われやすくなってしまいます。
人の良い方は、お世話になっている先生の治療の成果を伝えてあげようとして、良くなったなどと安易に伝えてしまうことがありますが、症状が残っているうちは、まだ症状が残っている旨素直に伝えましょう。


NG2症状の伝え漏れ

例えば、首と右手首が痛かったという場合で、病院の先生から首のことばかり聞かれるものだから右手首の痛みの話はしなかったという方がいらっしゃいます。
病院で症状を伝えないと、証拠上は、痛みが無かったものとして扱われてしまうので、病院ではすべての症状を伝えるようにしましょう。
後から、実は右手も痛かったのですと言っても手遅れになってしまうことがあります。

ポイント 5

病院選びに注意

(1)病院の規模の違いに注意

学校事故の場合、整形外科へ通院することが多いですが、整形外科といっても、町医者・総合病院・大学病院など様々な種類があります。
後遺障害等級14級の9の認定の場合は、主に治療やリハビリの状況や症状の推移が見られますから、予約の取りづらい大学病院や総合病院よりも町医者へ通院した方が適したケースもありますが、高精度のMRIやCTの撮影や電気生理学的検査など専門的な検査が必要な重度後遺障害の場合は、大学病院や総合病院への通院に馴染むことになります。
学校事故の内容や症状によって適した病院の規模が変わってきますので、まずは被害者側専門の弁護士に相談されることをおすすめします。

(2)病院の診察科の違いに注意

また、ずっと整形外科に通っていたが、耳鳴りの症状もあるであるとか、事故の瞬間を思い出してしまい体育の授業に参加できなくなったであるとか、本来整形外科以外に通わなくてはならないといったケースも存在します。
だいぶ日が経ってから、耳鳴りで本来通うべき耳鼻咽喉科に通ったであるとか、PTSDで本来通うべき心療内科や精神科に通ったというのでは、初診日が遅すぎるということで、学校事故との因果関係が否定されてしまうことがあります。
主治医から、この症状についてはこちらの診察科に通ってくださいなどのアドバイスがあればいいのですが、1つ1つの症状についてアドバイスをもらえないこともありますので、気になる方は被害者側専門の弁護士に相談されることをおすすめします。

相談の流れはこちら >>

ポイント 6

必要な画像撮影や検査を受けましょう

医学的に必要な画像撮影や検査については、お医者さんが判断するところですが、後遺障害等級の獲得や慰謝料などの損害賠償請求のために必要な画像撮影や検査というものが存在します。
これらをしておかないと、適切な後遺障害等級の認定を受けられず、また、慰謝料額などの損害額も少なくなってしまいます。
必要な画像撮影や検査は、診断名や症状によって異なりますので、それぞれのパートをご覧ください。

骨折 >>

靭帯損傷(腱板損傷・TFCC損傷・関節唇損傷・半月板損傷など) >>

CRPS >>

脊髄損傷(頚髄損傷・胸髄損傷・腰髄損傷) >>

高次脳機能障害 >>

(3) 症状固定=障害診断書作成のポイント

症状固定=障害診断作成のポイント

障害診断作成ポイントを3つ紹介します。

障害診断書

ポイント① 傷病名

①傷病名(診断名)は漏れなく記載する必要があります。 漏れがある事例としては、通院していた病院が1つではなく複数ある場合に、他院で診断された傷病名が記載されていないというケースが散見されます。 これにより後遺障害等級の認定に影響が出ることがありますので、注意が必要です。

ポイント② 障害の全容

後遺障害の部位や程度全般について記入します。
丁寧な先生ですと、別紙を作成してくれて、学校事故の発生内容から後遺障害が残ってしまうまでの経緯についてご説明いただけることもあります。
事案によって、どこまで書いた方が良いかは異なってきますので、被害者側専門の弁護士にご相談されることをおすすめします。

ポイント③ 具体的障害の程度及び内容

残ってしまった後遺症の内容ごとに、書くべきパートが定められています。
日本スポーツ振興センターの等級審査は、交通事故における自賠責保険や労災事故における労働基準監督署と比較すると補正指示などが多いので、主治医の先生の手を煩わせないためにも、なるべく一度で良い障害診断書を書いていただいた方が、被害者にとっても主治医にとっても良いです。
「具体的障害の程度及び内容」のパートは、傷病名などによって書くパートや記載のポイントも異なってきますので、具体的な説明については下記をご覧ください。

骨折 >>

靭帯損傷(腱板損傷・TFCC損傷・関節唇損傷・半月板損傷など) >>

CRPS >>

脊髄損傷(頚髄損傷・胸髄損傷・腰髄損傷) >>

高次脳機能障害 >>

(4) 後遺障害等級の申請⇒日本スポーツ振興センターによる審査

障害等級の申請⇒スポーツ振興センターによる審査

後遺障害等級の申請は、どのような資料を付けるかがポイントです。
障害診断書の記載内容が最も重要ですが、それに加えて、他の医学的証拠を提出した方が良いケースもあります。
また、弁護士法人小杉法律事務所では、弁護士名義の意見書を提出することもあります。
弁護士名義の意見書というのは、提出必須の資料ではありませんから、教育委員会から何度か受付を拒否されたことがありますが、受け付けない理由を書面で示してくださいと問い合わせると、受理してもらえます。
後遺障害等級の審査をする日本スポーツ振興センターは、交通事故における自賠責保険や労災事故における労基署と比べると、後遺障害等級認定になれていないところもありますので、こちらで適切な証拠や意見書を提出して、後遺障害等級認定のリードをしてあげるのが重要です。

(5) 後遺障害等級認定と不服審査請求

障害等級認定と不服審査請求査

後遺障害等級認定の結果が出たら、認定理由が付けられる制度運用となっています。
認定理由が納得いくものであれば、後遺障害等級を確定として、それに応じた損害賠償額を計算し、加害者や学校に内容証明郵便を発送するなどの動きをとります。
認定理由が納得のいくものではない場合は、不服審査請求を行います。
不服審査請求は、当初の後遺障害等級認定の事実を知った日の翌日から起算して60日以内にしなければなりません(給付決定に関する不服審査請求規程第3条1項)。
不服審査請求は、最初の申請の際と同じ証拠を提出しても、結果が変わらないことが多いので、新しい証拠を追加して行います。
新証拠を追加した不服審査請求でも納得いく結果が得られなかった場合には、諦めて交渉に進むか、裁判にて後遺障害等級の主張をしていくかということになります。

・当初のスポーツ振興センター判断非該当→主治医と複数回面談をし、障害診断書を書き直してもらう⇒不服審査請求により醜状障害12級 >>

なお、加害者がいない事故や、学校の管理が十分であったのに事故をしてしまったという場合(例えば、自分の不注意で転んでしまって大けがをしてしまったなど)は、日本スポーツ振興センターへの後遺障害等級獲得による障害見舞金を受け取って事件終了となります。
障害見舞金は後遺障害等級によって異なります。
金額は加害者や学校への損害賠償請求が認められるケースと比べると低額になりますが、自身の不注意による事故ですので致し方なしということになります。
具体的な金額の概要は、下記のとおりです。

障害等級 障害見舞金の金額 障害見舞金の金額(通学中)
第1級 3770万円 1885万円
第2級 3760万円 1680万円
第3級 2930万円 1465万円
第4級 2040万円 1020万円
第5級 1700万円 850万円
第6級 1410万円 705万円
第7級 1190万円 595万円
第8級 690万円 345万円
第9級 550万円 275万円
第10級 400万円 200万円
第11級 290万円 145万円
第12級 210万円 105万円
第13級 140万円 70万円
第14級 82万円 41万円

(6) 内容証明郵便の発送による損害賠償請求

内容証明郵便の発送による損害賠償請求

後遺障害等級が確定すると、慰謝料額などの損害賠償額が具体的に確定できます。
後遺障害等級に基づいた損害額を算定し、加害者の自宅や学校に対して内容証明郵便を発送し、具体的に損害賠償金の支払いを求めていきます。
なお、既に加害者や学校に弁護士が付いている場合や、保険会社が対応する場合には、内容証明郵便は発送せず、普通郵便などで請求することが多いです。

(7) 加害者側・学校側との示談交渉のポイント

加害者側・学校側との示談交渉のポイント
ポイント 1

加害者との示談交渉のポイント

加害者のいる学校事故の場合、加害者も未成年ということがほとんどですので、加害者の親が対応することが多いです。
内容証明発送による損害賠償請求が加害者宅に届くわけですが、これへの対応は、加害者の親によって異なります。

  1. パターン1 無視

    内容証明郵便により、損害賠償請求をしたにもかかわらず、何の連絡もしてこない親もいます。
    この場合は、再度督促の手紙を送付するか、訴訟を提起するかのいずれかになります。

  2. パターン2 謝罪なし・怒るなど

    こちら側としては、ケガをさせられて障害が残ってしまったがために損害賠償請求をしているわけですが、これに対して、謝罪をまったくしない親や、逆にこちらに対して怒りの感情をぶつけてくる方もいらっしゃいます。
    このようなケースでは、通常話し合いになりませんので、訴訟を選択するのに適しています。
    なお、「では裁判します」と言った瞬間に、態度が変わり、示談交渉が進むこともあります。

  3. パターン3 謝るがお金がない

    謝罪はするものの、そんなお金はうちにはありませんなどと言って、許しを乞うケースがあります。
    学校事故当初から謝罪の気持ちを示しているのであれば、被害者である子ども自身や被害者のご家族も納得するケースはあると思いますが、具体的に内容証明郵便で損害賠償請求をしてはじめて謝罪するといったケースですと、当然ですが、被害者側の納得は得られないことが多いです。
    こうしたケースでは、訴訟を選択するのに適しています。
    なお、「では裁判します」と言った瞬間に態度が変わり、なんとかできる限りのお金を集めますなどと言って、示談交渉が進むこともあります。

  4. パターン4 言い値で支払いをしてくる

    誠実な親御さんや、金銭的に余裕のある親御さんの場合、内容証明郵便で請求した額について、こちらの指定した振込期限までに損害賠償額が振り込まれることもあります。
    こちらの主張が正しい場合は、本来このような態度が当たり前なのかもしれませんが、実際はすぐに支払いをしてくれるケースというのは多くはありません。
    後遺障害等級が認定されるようなケースですと、損害賠償額が数百万円、数千万円、場合によっては億を超えることもありますので、すぐに支払いができないのも無理もないケースも存在します。

  5. パターン5 保険会社の担当者が出てくる

    加害生徒の親の会社の保険が使えたなど、損害賠償請求の支払を保険会社がしてくれることがあります。
    この場合、保険会社の担当者から連絡があり、その担当者と示談交渉を進めていくことになります。
    保険会社との示談交渉のポイントは、保険会社内の決裁金額をなるべく上げることです。
    保険会社の担当者は金額を出せる「枠」というのを持っていて、その「枠」内での解決を目指します。
    弁護士法人小杉法律事務所では、担当者の「枠」の上限を早期に引き出し、事案によっては、担当者の上司に「枠」の上限を超すことを認めさせるよう説得し、更に本部決裁や保険会社の取締役会の稟議に回させることもあります。
    当事務所は保険会社側の仕事をしませんので、特に保険会社業界へ配慮する必要がありません。
    また、やみくもに金額を上げろと言っていても、保険会社の担当者は金額を上げてくれませんので、金額を上げるための根拠資料を提出したり、電話口での交渉で保険会社の担当者を説得する必要があります。
    弁護士はいざとなったら裁判をすることができますから、いま示談をしておかないと、裁判になった場合に、より高額の賠償金を支払うことになるという点を保険会社側に説得的に語り掛けていくことがポイントになってきます。
    当事務所の弁護士は、1000件以上の示談交渉を経験してきていますので、示談交渉の際の駆け引きなどを得意としています。
    示談解決で裁判基準満額の賠償金を認めさせたり、裁判基準以上の金額を認めさせたケースも多く存在します。

  6. パターン6 弁護士が出てくる

    内容証明郵便の内容を見た加害生徒の親の行動として、どうしたらいいのか分からず、弁護士の所へ法律相談に行ってみるということがあります。
    ここで弁護士に依頼したケースですと、その弁護士が窓口になって交渉をすることになります。
    相手が弁護士ですと、裁判となった場合の賠償水準についてある程度予測ができますので、こちら側としては相手弁護士の予測を助けるべく資料を提出し、裁判で勝訴した場合の水準に近い金額での示談を迫ります。
    相手弁護士としては、裁判となった場合の見立てや依頼者の懐事情(お金をどのくらい準備できるか)などを考えながら、交渉をしてきます。
    加害者の責任が明らかなケースでは、相手に弁護士が付いた方が交渉がしやすいことが多いです。
    相手の弁護士が、相手方を説得してくれます。

ポイント 2

学校側との示談交渉のポイント

  1. ① 公立学校はとにかく回答が遅い

    学校は公立と私立がありますが、公立の場合、とにかく回答が遅いです。
    これは、損害賠償金の支払いを税金で賄わなければならなかったり(議会承認や首長(市長や県知事など)の専決が必要)、教育委員会などへの報告が必要であったりするためです。
    学校の管理責任が明らかなケース、裁判で勝訴見込みのケースでは、回答期限を区切り、期限までに回答がない場合、速やかに訴訟提起に移った方が賢明といえます。
    こうした態度を見せないと、半年間回答がないなど長期間待たされることがあります。

  2. ② 私立学校は保険会社や弁護士が対応することが多い

    私立学校の管理責任を問う場合は、保険会社の担当者や弁護士が出てくることが多いです。
    保険会社の担当者が出てくるケースはこちらをご覧ください。
    弁護士が出てくるケースはこちらをご覧ください。

(8) 示談による解決

示談による解決
(1)
示談をするか否かの基準

示談となった場合には、これで事件解決となります。
示談をしないとなった場合には、裁判となります。
示談をするか裁判をするかの判断は、被害者の方のご意向によって行いますが、弁護士の目から見た判断基準というものがありますので、その点はお伝えさせていただいております。
事案によって異なりますが、一般化して申し上げると、相手方が出せる上限いっぱいの金額を引き出した後に、裁判をした場合に最低限取れるであろう金額との比較を行います。
裁判をした場合に最低限取れるであろう金額に足りないという場合は、裁判をした方が良いということになりますし、これを上回る場合には示談をした方が良いということになります。
示談をしてしまうと、後になって「やっぱり納得がいかない」と言えなくなりますので、裁判をしないとしても、裁判の見立てをしっかり立てた上で、示談をするか否かを判断するのが賢明です。

(2)
示談書を書く際の注意点

示談書を書く際の注意点は、これですべて終わりにする趣旨であるのか、将来追加請求の余地を残すかという点です。
例えば、後遺症の部分を除いて、通院慰謝料の示談をするという場合は、将来後遺症についての慰謝料や逸失利益を請求する予定であることを残しておかないといけません。
具体的には、「後遺症に係る損害については別途協議する。」などといった文言を示談書に入れておく必要が出てきます。
これを入れずに示談をしてしまうと、重い後遺症が残ってしまったとしても、後遺症についての損害賠償が認められなくなってしまう可能性があります。
また、後遺症の内容からして、将来症状が発生することがあり得るケースや、将来追加の手術代などが必要となるケースも存在します。
将来治療費を示談金として支払ってもらえるなら良いのですが、そうでないのであれば、「将来本件事故に基づく症状が発現した場合の損害については別途協議する。」であるとか「将来本件事故に基づく手術が必要となった場合の損害については別途協議する。」などといった文言を示談書に入れておく必要があります。

(9) 民事裁判による解決

民事裁判

どこの裁判所で裁判したら良いかの戦略を練る

管轄権を有する裁判所に訴状を提出して、民事裁判が始まります。
なお、管轄権というのは、事故発生場所(民事訴訟法第5条9号)、被害者の住所地(民事訴訟法第5条1号・民法第484条)、加害者の住所地(民事訴訟法第4条1項)の裁判所に生じます。弁護士法人小杉法律事務所の場合、管轄権を有する裁判所の裁判官情報を元に訴訟戦略を練り、依頼者の希望とすり合わせながら、どの裁判所に提訴するかを決定します。

学校事故の裁判では誰を訴えることになるのか

民事裁判では、提訴をした方が原告、された方が被告となりますので、被害者側が原告、加害者側・学校側が被告ということになります。
加害者と学校の双方を訴えることもできます。(共同不法行為といいます。)。
体罰が行われたような場合には、教師個人も損害賠償義務を負いますので、この場合は、教師個人も訴えることができます。
なお、学校事故の場合、加害者が児童であるなど未成年ということが多く、この場合、親権者も法定代理人として訴状の被告側に明記します。

民事裁判の期日では何が行われているか

初回期日では、提出した訴状の陳述と、答弁書の陳述がなされます。被告に弁護士が付いたケースでは、形式的な答弁書のみ提出し、初回期日には欠席することが多いです。
そして、第2回期日において、被告の弁護士から訴状に対する詳細な反論を記した準備書面が陳述され、第3回期日において、原告側の弁護士が再反論をするというような流れで、原告側と被告側の反論-再反論というラリーが続きます。
民事裁判は口頭主義に則るべきですので、法廷にて原告側の弁護士と被告側の弁護士が、裁判官を交えて、互いの主張をぶつけ合うのが本来の姿ともいえますが、現状の民事裁判では、書面のラリーが続くのみで、裁判期日は5分程度で終わることもしばしばです。

裁判所和解案

原告・被告双方の主張と書面による証拠がある程度出揃った段階で、裁判所より和解案が示されることが多いです。
裁判所和解案では、原告・被告双方の主張立証に対する、現時点での裁判所の見解が示され、被告が支払うべき損害賠償額(解決金)が具体的に示されます。
書面で示す裁判官もいれば、裁判の期日において口頭で示す裁判官もいます。
裁判所和解案に、原告も被告も同意するとなった場合には和解成立となり、民事裁判は終了します。
他方で、原告・被告の両方又はいずれか一方が裁判所和解案に同意しないとなった場合には、民事裁判は終了せず、審理が続くことになります。
なお、裁判所和解案に納得しない理由について、証拠に基づき意見した場合、裁判所が和解案を修正してくれることがありますので、和解案を増額するチャレンジをした方が良いケースというのも存在します。

尋問・判決

和解が成立しなかった場合には、判決に進みます。
判決に進む場合は、判決前に尋問が行われるケースがあります。
過失割合や責任原因に争いのあるケースでは、原告・被告双方の尋問が行われることが多いです。
尋問の結果を踏まえて裁判所が判決を書きますが、尋問後に裁判所和解案が出されるケースもあります。
判決に対しては、判決書を受け取った日から14日以内に控訴をすることができます(民事訴訟法第258条)。

学校事故発生から解決まで 2

弁護士へのよくある質問

よくある質問

Q 弁護士さんにお願いした場合、何か月くらいで解決しますか?

事案によって異なります。
まず、治療が終了しないと慰謝料がいくらかという算定などができませんので、少なくとも治療期間中に解決することはできません。
治療がどのくらいかかるかについては、お怪我の内容によりますので、お医者さんにお尋ねください。
完治しないケース(後遺症が残ってしまうケース)ですと、もうこれ以上治療を続けても改善が見込まれないという状況まで治療をしていただくことになります。
この時点を症状固定といいます。
重傷のケースですと、症状固定日以降も、症状悪化を防ぐなどのために治療を続けてもらって構いません。
症状固定時の症状について、主治医の先生に障害診断書を書いていただき、これを元に日本スポーツ振興センターに後遺障害等級の申請をします
そして、確定した後遺障害等級に基づき、加害者や学校に損害賠償請求をして、示談による解決又は民事裁判による解決という流れとなります。
既に適正な後遺障害等級が確定して、後は示談交渉のみというケースでは、1か月程度で解決することもありますが、通常はもっと時間がかかることが多いです。
なお、民事裁判をする場合は、裁判をしてから1年以上の年月がかかることが多いです。

Q できれば裁判はしたくないのですが、裁判をせずに解決をすることは可能ですか?

可能です。
弁護士法人小杉法律事務所の弁護士には、これまで数千件の損害賠償請求事例の解決実績がありますが、どちらかと言えば示談による解決が多いです。
紛争というのは、早期に決着させた方が良いと思っていて、民事裁判をせずに適正な損害賠償額を回収することに努めています。
ただし、学校事故の場合、加害者側にお金がなく、少ししか払えないという言われるケースもあり、実際に加害者側の言うとおり何らの資産も持っていないというケースは存在します。
このような場合は、依頼者の方と相談し、裁判をするのか、少額での示談金で納得するのかを決めていくことになります。
なお、刑事裁判を行うか否かは、検察官が決めることですので、弁護士が直接的なコントロールをすることはできませんが、加害者の刑事裁判を望まないと検察官に伝えることは可能です。
刑事裁判への被害者の参加は必須ではありませんので、よほどの事情がない限り、刑事裁判を望まないと敢えて検察官に伝える必要性はないと思います。

Q 民事裁判したいのですが、必ず裁判してくれるのでしょうか?

依頼者の方が示談はしないと言っているのに、弁護士が勝手に示談をすることはありませんので、その場合、民事裁判に進むことになります。
ただし、示談交渉によって、適正な賠償額を引き出すことに成功し、民事裁判に進んだ場合にはリスクが想定されるようなケースでは、「示談した方が良いですよ」とお伝えさせていただくことになります。
弁護士との契約は委任契約で、信頼関係が基礎となりますから、方針に齟齬がある場合には、先に進むことができません。
こういう意味においては、必ず民事裁判することを保証することはできません。

Q 民事裁判をする場合、わたしたち家族も裁判所に行かないといけなくなるのですか?

弁護士が出廷しますので、裁判所に出向いていただく必要はありません。
なお、希望があれば、一緒に裁判所に行くことは可能です。ただし、2020年以降は民事裁判のIT化に伴い、民事裁判がMicrosoft teamsで行われていますので、弁護士も出廷することなく、事務所から民事裁判に参加していることがほとんどとなっています。 この場合に一緒に民事裁判に参加するという場合は、法律事務所に来ていただいて、パソコンの画面上の民事裁判に一緒に参加していただくという流れになります。
また、事故態様に争いがあるようなケースでは、尋問が行われますので、その際には、1度だけ裁判所に出向いていただく必要がございます。
なお、尋問の練習は、事前に当事務所において行う予定です。

Q 弁護士さんに依頼した後は、加害者の家族と直接話さなくてもよくなるのですか?

はい、弁護士に依頼した後は、加害者の家族と話すことはありません。
すべてこちらで対応し、示談交渉や示談書の取り交わしなどもすべてこちらで対応します。
加害者サイドから、保険会社の担当者や、依頼した弁護士が出てきた場合も、すべてこちらで対応致します。
なお、どのような話をしたかのご報告はさせていただきます。

Q 学校事故の資料を入手することはできますか?

できます。
学校事故が起きると、災害報告書というものがつくられますので、情報公開請求によりこれを入手して、学校が教育委員会や日本スポーツ振興センターに報告した事故内容を確認することができます。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。