学校事故 障害等級の解説

脳の障害

高次脳機能障害

(1)高次脳機能障害の後遺障害認定基準について

高次脳機能障害については、意思疎通能力、問題解決能力、学校衣生活に対する持続力・持久力及び社会行動能力の4つの能力の各々の喪失の程度に着目して、評価を行います。ただし、高次脳機能障害による障害が、第3級以上に該当する場合は、介護の要否及び程度を踏まえて認定します。

この4能力について評価を行う際に着眼する点は以下のとおりです。

①意思疎通能力:学校生活において他人とのコミュニケーションを適切に行えるかどうか等について判定します。主に、記銘・記憶力、認知力又は言語力の側面から判断を行います。

②問題解決能力:学校で出される課題等に係る指示や要求水準を正確に理解し適切な判断を行い、円滑な学校生活を送ることができるかどうかについて判断します。主に理解力、判断力又は集中力(注意の選択等)について判断を行います。

③学校生活に対する持続力・持久力:一般的な学校生活に対処できるだけの能力が備わっているかどうかについて判定する。精神面における意欲、気分又は注意の集中の持続力・持久力について判断を行います。その際、意欲又は気分の低下等による疲労感や倦怠感を含めて判断します。

④社会行動能力(協調性等):学校生活において他人と円滑な共同作業、社会的行動が出来るかどうか等について判定します。主に協調性の有無や不適切な行動(突然大した理由もないのに怒る等の感情や欲求のコントロールの低下による場違いな行動等)の頻度について判断を行います。

(2)高次脳機能障害の等級について

「高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの」は、第1級の3に該当します。同等級が認定されるのは、①重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要するもの②高次脳機能障害による高度の痴ほうや情意の荒廃があるため常時監視を要するものが該当します。

「高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわりの動作について、随時介護を要するもの」は、第2級の3に該当します。同等級が認定されるのは、①重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に随時介護を要するもの②高次脳機能障害による痴ほう、情意の障害、幻覚、妄想、頻回の発作性意識障害等のため随時他人による監視を必要とするもの③重篤な高次脳機能障害のため、自宅内の日常生活動作は一応できるが、1人で外出することなどが困難であり、随時他人の介護を必要とするものが該当します。

「生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、高次脳機能障害のため、学校衣生活に著しい制限を受けているもの」は、第3級の3に該当します。同等級が認定されるのは、①4能力のいずれか1つ以上の能力が全部失われているもの②4能力のいずれか2つ以上の能力の大部分が失われているものが該当します。

「高次脳機能障害のため、学校生活に制限を受けており、極めて軽易な活動しか行うことができないもの」は、第5級の2に該当します。同等級が認定されるのは、①4能力のいずれか1つ以上の能力の大部分が失われているもの②4能力のいずれか3つ以上の能力の相当程度が失われているものが該当します。

「高次脳機能障害のため、学校生活に制限を受けており、軽易な活動しか行うことができないもの」は、第7級の4に該当します。同等級が認定されるのは、①4能力のいずれか2つ以上の能力の相当程度が失われているもの②4能力のいずれか3つ以上の能力が多少失われているものが該当します。

「通常の学校生活を送ることはできるが、高次脳機能障害のため、参加可能な活動が相当程度に制限されるもの」は、第9級の10に該当します。同等級が認定されるのは、高次脳機能障害のため、4能力のいずれか1つ以上の能力の相当程度が失われているものが該当します。

「学校生活を送ることはできるが、高次脳機能障害のため、多少の障害を残すもの」は、第12級の13に該当します。同等級が認定されるのは、4能力のいずれか1つ以上の能力が多少失われているもの該当します。

「学校生活を送ることはできるが、高次脳機能障害のため、軽微な障害を残すもの」は、第14級の9に該当します。同等級が認定されるのは、MRI、CT等による他覚的所見は認められないものの、脳損傷のあることが医学的にみて合理的に推測でき、高次脳機能障害のためわずかな能力喪失が認められるものが該当する。

この記事の執筆者

小杉 晴洋
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数1000件超。

経歴
小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身・福岡市在住。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(当時。現「神奈川県弁護士会」)に登録後(損害賠償研究会所属)、福岡県弁護士会に登録換え(交通事故委員会所属)。

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