学校事故コラム

裁判

外国籍の子どもが学校事故遭った場合でも、日本の裁判所で裁判できるか?

2022.01.29

【外国人と学校事故】外国籍の子どもが学校事故被害にあった場合でも、日本の裁判所に訴え提起できるのか?その場合の手続はどうなるのか?

外国人であっても日本の裁判所に訴え提起することができます

外国籍の子どもが日本の学校において学校事故被害に遭ってしまった場合、そもそも加害児童や学校に対して裁判をすることができるのでしょうか?

日本国憲法第32条では「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない。」と規定されていて、裁判を受ける権利を「日本国民」に限定していません。

そして、日本国内で発生した事故に基づく損害賠償請求に関する訴えについては、日本の裁判所が管轄権を有するとされています(民事訴訟法第3条の3第8号)。

また、そして、準拠法としては、外国籍の子どもが日本国内の学校にて学校事故被害に遭った場合には、日本の法律が適用されることになります(法の適用に関する通則法第17条等)。

外国籍の子どもが日本国内の学校にて学校事故被害に遭った場合、日本人の子どもが学校事故被害に遭った場合と同様、日本の法律で、日本の裁判所に提訴することができると考えてよいです。

ただし、日本の子どもが学校事故被害に遭った場合と比べ、民事裁判を起こす手続が少し異なりますので、注意が必要です。

 

外国籍の子どもが学校事故裁判をする場合の手続

学校事故被害に遭う子どもというのは、未成年者であることがほとんどですが、日本の法律では、未成年者は法定代理人によらなければ訴訟行為をすることができないとされています(民事訴訟法第31条本文)。学校事故裁判において子どもと親のどちらが訴えを起こすのかについての詳細は、こちらのページをご覧ください。

この法定代理人というのは、ほとんどの場合、親権者を指しますが(民法第818条1項,民法第824条)、日本人が学校事故裁判を起こす場合は、訴状の附属書類として、戸籍謄本を裁判所に提出することによって、法定代理人親権者であることを証明することになります。

では外国籍の子どもが学校事故裁判をする場合は、どうしたらいいのでしょうか?

戸籍制度が無い国の外国籍の子どもが学校事故裁判をする場合の手続

戸籍制度を用いているのは、日本と台湾くらいで、他の国には戸籍制度というもの自体が存在しません。

しかし、日本で学校事故裁判を提起するには、学校事故被害に遭った子どもの親権者であることを証明しないといけません。

では、どのようにして、学校事故被害に遭った子どもの親権者であることを証明して、学校事故裁判を起こしたらいいのでしょうか?

戸籍制度が存在しない国について、親子関係を証明する方法としては、

①当事者が未成年であることがわかるもの

②親子関係がわかるもの

の2点が必要となっています。

「①当事者が未成年であることがわかるもの」については、日本の住民票で足ります(当事者の生年月日が確認できる)。

「②親子関係がわかるもの」については、当事者の出生地が日本以外であった場合と、日本であった場合とで異なります。

出生地が日本以外であった場合は、大使館・領事館で親子関係証明書を取得します。なお、親子関係証明書を取得した場合には、日本語の翻訳文をつける必要があります。

出生地が日本であった場合には、出生事項記載証明書を最寄りの役所で取得することができますので、それを提出します。

以上の内容をまとめると、外国籍の子どもが学校事故裁判をする場合、

①日本の住民票

②親子関係証明書(大使館・領事館で取得)とその日本語翻訳文

 or出生事項記載証明書(最寄りの役所で取得)

ということになります。

 

【参考】

・外国人が日本で子供を産んだときの届出について(法務省HP)

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji15.html#name1

 

・親子関係証明書の取得方法

在日米国大使館

https://jp.usembassy.gov/ja/passports-ja/proof-parent-child-relationship-ja/

駐日大韓民国大使館

https://overseas.mofa.go.kr/jp-ja/wpge/m_11911/contents.do

タイ王国大阪領事館

http://www.thaiconsulate.jp/passport_0/

在中国日本国大使館

https://www.cn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/shoumei_syussei.html

 

戸籍制度がある国(台湾)の外国籍の子どもが学校事故裁判をする場合の手続

戸籍制度がある国というのは、日本と台湾の2か国だけです。

台湾国籍の子どもが、日本の学校で学校事故被害に遭ってしまった場合は、台湾戸籍を取り付けて、法定代理人親権者であることを証明しなければ、学校事故裁判を起こすことができません。

台湾の戸籍は、台湾現地の戸政事務所でのみ発行可能です。

郵送申請や代行業者による申請などもてきますので、台湾戸政事務所より戸籍謄本を取り寄せ、これに日本語の翻訳文をつければ法定代理人の証明となります。

(台湾の戸籍謄本の申請について https://www.roc-taiwan.org/jpna_ja/post/6510.html 台北駐日経済文化代表処Webサイトより)

 

外国籍の子どもが学校事故被害に遭ってしまった場合の注意点まとめ

以上のとおり、外国籍の子どもが日本の学校事故で、学校事故被害に遭ってしまった場合、住民票や親子関係証明書(又は出生事項記載証明書)を提出することにより問題なく日本の裁判所を利用できます。

ただし、学校事故裁判というのは、日本人であるか外国人であるか否かにかかわらず、そもそも難しい類型の裁判とされていますし、また、学校事故被害によって後遺症を残してしまった場合には、その慰謝料額や逸失利益などの損害賠償額の算定で、日本人の子どもが学校事故被害に遭ってしまった場合と異なる取り扱いがなされることがありますので、外国籍の子どもの学校事故裁判というのは、とりわけ難しい類型に属することになります。

小杉法律事務所では、外国籍の子どもの学校事故案件も取り扱っております。

示談交渉による解決から、裁判による解決まで扱っておりますので、外国籍のお子様が学校事故被害に遭われたという方は、お気軽にご相談いただければと思います。

学校事故被害に遭われた方であれば、日本人であっても、外国人であっても、法律相談料は無料とさせていただいております。

 

 

この記事の執筆者

小杉 晴洋
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災などの損害賠償請求解決件数1000件超。

経歴
小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身・福岡市在住。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(当時。現「神奈川県弁護士会」)に登録後(損害賠償研究会所属)、福岡県弁護士会に登録換え(交通事故委員会所属)。