学校事故コラム

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不登校の原因はゲーム依存症?いじめ?学校事故被害専門の弁護士解説

2022.08.26

いじめ ゲーム依存症 不登校

大澤健人弁護士

小杉法律事務所では、子供が学校に行かず、家でゲームばかりしているという相談を受けることがあります。

親としては「ゲーム依存症なのではないか?」と不安になるところですが、必ずしもゲームが不登校の原因となっているとは限りません。

ゲーム依存症であったとしても、そうなる過程において「いじめ」が介在しているということがあるのです。

この問題点について、学校事故被害専門の大澤健人弁護士が調査をしてくれましたので、その調査結果を紹介させていただきます。

なお、医学的事項も関わりますが、精神科など専門医による解説ではありませんので、医学的専門的な説明は割愛させていただき、弁護士の視点からの解説とさせていただきます。

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依存症とは

依存症

依存症の定義

依存症というのは、日々の生活・健康・人間関係・仕事などに悪影響を及ぼしているにも拘わらず、ある状態をやめたくてもやめられないことを指します。

薬物依存、アルコール依存など様々な種類がありますが、今回紹介する「ゲーム」についても依存症となってしまうことがあります。

どんな人が依存症になるのか?

依存症にはどのような人がなるのでしょうか?

ドラマや映画では、怠惰に過ごしている人がアルコール依存症として描かれることもあると思います。

しかし、輝かしい功績を残した人がその後薬物依存やアルコール依存で苦しむということは、現実のニュース等で見聞きすることも多いと思います。

実は、元々怠惰な人が依存症になってしまうのではなく、挫折などの特定の原因から、何かに依存することで精神不安から脱しようとしている事例が多く見られます。

依存症の原因は環境にある(ネズミの実験)

ここで、ネズミを使った2つの実験(ラットパーク実験)を紹介します。

一つの部屋に一匹のネズミを入れ、薬物入りの水と普通の水を設置します。

するとネズミは薬物入りの水ばかり飲むようになり、薬物に依存している状態になりました。

この実験を見て、薬物を取り続けることで依存する、すなわち、物質をたくさん取り込むことで依存状態に陥っていくと考えられるようになりました。

しかし、一方で類似の別の実験が行われました。

条件の違いは、入れるネズミの数が一匹なのか複数なのかという点のみでした。

結果は、複数のネズミを部屋に入れた実験では、最終的に誰も薬物入りの水を飲むようになりませんでした。

すなわち、薬物を飲んでしまったら依存してしまうのではなく、環境的な要因が大きく作用していると考えられます。

孤独になってしまうと何かに依存してしまうのではないかと考えられます。

ゲーム依存症と不登校

不登校

ゲーム依存症の原因

多くの方は、依存症は何かにのめりこんでしまう、ゲームをたくさんやればやるほど依存症になってしまうという先入観を持っているのではないでしょうか?

しかしながら、挫折やつらい経験をしたとき、誰かに相談できる環境や楽しめる何かが別にある人は、依存症になりにくいと言われております。

つまり、子供がゲームばかりしていてゲーム依存症になってしまうのではなく、ゲームにのめりこまなければならない環境や原因がどこかにあると考えて、根本的な解決を図っていくことが大切なことではないかと考えます。

子供のSOSには敏感に

子供向けの電話相談窓口として設置されている子供SOSでの相談の中で一番大きな割合を占めるものは「雑談がしたい」というものだそうです。

具体的にこれに困っているという相談ではなく、ただ誰かと話がしたいという相談が多いというのは驚かれる方も多いのではないでしょうか。

誰も話をする相手がいない、孤独な状況が人間にとっても危険な状態であることの証左ではないでしょうか。

重要なことは、ゲームをやめさせることではなく、子供と対話をすることであると考えています。

不登校の原因は本当にゲームなのか?

ゲーム好きの子供でも、学校に通学している子供はたくさんいます。

果たして、家でゲームばかりしていて学校に行かないのは、「ゲーム依存症」が原因なのでしょうか?

ゲームをたくさんしていたところゲーム依存症になってしまって学校に行けなくなってしまったのではなく、何か別の原因があり、ゲームでその原因を乗り越えようとすることが依存症につながるとすれば、ゲームに依存しているから学校へ行けないという論理に結びつかない可能性が高まります。

不登校となってしまった事例では、ゲーム依存症になってしまった原因というのは「学校」での生活にあることが多いです。

小杉法律事務所でも、同級生からのいじめや、担任の先生との相性の悪さから、不登校となってしまい、家でゲームばかりするようになったという事例を扱ってきております。

ゲーム依存症が疑われる子供については、精神科や心療内科など専門医への診察をおすすめしています。

他方で、不登校の原因となった学校の問題行動や、他の生徒の問題行動自体については、弁護士が学校側・加害生徒の親との交渉を行う必要がある事例というのが存在します。

ゲームをしているだけだからといって学校が原因の調査をしてくれない、学校問題とは無関係だと言われてしまっている事例においても、弁護士が法律の周辺領域に関する専門的知識を持っているか否かで対応が大きく変わります。

学校の先生からゲームしていて学校に来ないだけであると言われてしまったとしても、学校にいじめの調査をしてもらう、又は、処遇改善をしてもらうことができる場合があるのではないかと思います。

子供が学校に行かず、家でゲームばかりしているというケースでは、その子供との対話を続け、ゲーム依存の原因を探るようにしてください。

そして、その原因が、学校や他の生徒にあるような事例では、専門医への相談と共に、学校事故被害専門の弁護士への相談をさせることをお勧めします。

事例によっては、専門医への医師面談や医学的意見書・診断書の取付け、学校や加害生徒への損害賠償請求をさせていただきます。

弁護士大澤健人のコメント

弁護士大澤健人

小杉法律事務所では、学校事故被害を専門に取り扱っております。

特に弁護士大澤は、学校事故被害など子供の被害について専門的に取り扱っております。

無料で法律相談を実施しておりますので、子供が不登校になってしまい、その原因が学校や他の生徒にあるといったお悩みを抱えてらっしゃる親御さんは、お問い合わせいただければと思います。

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この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。