学校事故の解決実績

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後遺障害等級非該当の判断は覆せるか?学校事故被害専門弁護士が解説

Eさん 10代・女性・中学生

14級 バスケットボール むち打ち 不服審査請求 中学校 体育 後遺障害診断書修正

障害診断書学校事故

体育の授業中に、首の痛みなどの障害を負ってしまった中学生のEさん。

Eさんの首の痛みは、リハビリによっても完治せず、残ってしまいました。

この首の痛みの残存について、スポーツ振興センターに障害等級の申請をしてみましたが、

神経症状の後遺症とは評価できないということで非該当とされてしまいます。

Eさんの親御さんは、この判断が正しいのかどうかわからず、弁護士に法律相談をしてみることにしました。

 

弁護士の介入により、当初のスポーツ振興センターの判断は覆され、障害等級第14級の9が認定されました。

障害等級非該当の判断を覆すためのポイントは?弁護士が解説します。

 

小杉法律事務所では学校事故被害専門弁護士による無料相談を実施しております。

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学校事故&治療の状況

Eさんは中学校の体育の授業に参加しており、体育館の端で同級生と準備運動をしていました。

すると、他の生徒が投げたバスケットボールがEさんの頭に当たり、むち打ちを起こして首の痛みなどの傷害を負ってしまいました。

学校の授業中の事故は学校の管理下における事故に該当しますから、災害給付制度を利用することにより、

治療費はスポーツ振興センターが支払ってくれます。

スポーツ振興センターの災害給付制度の詳細はこちらのページから。)

 

スポーツ振興センターの支払を受けつつ治療を続けましたが、Eさんにはある程度の期間が経過しても首の痛みが残っていました。

スポーツ振興センターでは、「学校の管理下の負傷又は疾病が治った後に残った障害」を、

文字どおり「障害」と定義されており、残存した障害の程度(等級)に応じて障害見舞金が支払われることになっています。

 

Eさんの親御さんはこの障害見舞金の支給のための災害共済給付申請を、スポーツ振興センターに対して行いました。

しかし、Eさんの首の痛みに対してスポーツ振興センターが下した判断は、非該当。

つまり、障害見舞金が支払われるような後遺症が残存したとは認められないという判断が下されてしまいました。

 

Eさんの親御さんは、この判断が正しいのか分からず、弁護士に法律相談してみることにしました。

 

弁護士による法律相談

障害診断書の記載&障害等級非該当の理由を確認

Eさんの親御さんから法律相談を受けた弁護士は、まず初めに障害診断書の記載を確認しました。

スポーツ振興センターの障害等級認定の際に最も重要な判断資料とされるのが障害診断書だからです。

そして、その障害診断書の記載と、障害等級非該当の理由を見比べたところ、

現在のEさんの障害診断書の記載では、障害等級認定は難しいだろうという結論に達しました。

なぜ現在のEさんの障害診断書の記載では難しかったでしょう?

 

それを見ていく前に、まずEさんの首の痛みがスポーツ振興センターの障害等級表のどれに該当する可能性があるのかを見ていきましょう。

Eさんの首の痛みが該当する可能性がある障害等級は次の2つです。

  • 障害等級第12級の13 局部に頑固な神経症状を残すもの
  • 障害等級第14級の9 局部に神経症状を残すもの

この障害等級第12級の13と障害等級第14級の9の違いは「頑固な」という言葉が付いているかどうかですが、

この「頑固な」の区別は、「他覚的所見」の有無によって判断されます。

「他覚的所見」とは、簡単に言えば画像や検査結果など、客観的に痛みの原因が分かる証拠のことです。

Eさんはまだ中学生と若く、MRIやCTの画像も綺麗に写っており、客観的に痛みの原因が分かるような証拠はありませんでした。

ということは、Eさんに認定される可能性があるのは「障害等級第14の9 局部に神経症状を残すもの」ということになります。

 

なお、後述するように、学校事故のスポーツ振興センターにおける障害等級の判断は、

労災事故の労働局における障害等級の判断や、交通事故の自賠責損害調査事務所における後遺障害等級の判断とほぼ同じです。

 

それでは実際にEさんの事例についてみていきましょう。

主治医が作成したEさんの障害診断書の自覚症状欄には、Eさんは「首を動かした時に痛む」と感じているような記載がされていましたが、

障害等級非該当の理由には、「Eさんの首は常時痛むわけではなく動かした時に痛む程度なので、障害とは認められない」といった旨の記載がありました。

 

つまり、自覚症状欄に「首を動かした時に痛む」と書かれてしまっている以上、非該当の理由は覆せないということになります。

この点についてEさんに確認したところ、確かに自覚症状欄にはそのように書かれているが、本当は常時痛むということでした。

噓を書いてもらうわけにはいきませんが、Eさんご本人が感じている自覚症状を適切に記載してもらう必要はあります。

そこで弁護士は、この障害診断書の自覚症状欄の記載を訂正して頂くよう、医師に働きかけることを検討しました。

 

不服審査請求の結果、損をするリスクがあることをきちんと説明

弁護士は障害診断書の訂正ができた場合には、その他の記載や治療状況等から、

不服審査請求(スポーツ振興センターへの再度の障害等級の認定のお願い)の結果、障害等級の認定がされる確率は高そうだと感じました。

しかし、今回行うのは加害者への損害賠償請求ではなく、スポーツ振興センターへの障害見舞金の申請にかかる不服審査請求です。

ということは、不服審査請求の結果、やはり非該当の判断は覆せなかった、という時にはEさんご家族は弁護士費用分だけ損をしてしまいます。

ご依頼いただくにあたり、そのリスクも十分にご説明した上で、ご納得いただき、ご依頼いただきました。

 

このように、小杉法律事務所ではご依頼いただくまでの法律相談は全て無料で行い、依頼者の方にご納得いただいた上で

ご依頼して頂いております。

ですので、ぜひ学校事故でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

学校事故被害専門弁護士へのお問い合わせはこちらのページから。

 

不服審査請求の準備(障害診断書の訂正&意見書作成)

障害診断書の訂正

弁護士がまず初めに行ったことは、障害診断書の訂正を医師にお願いすることです。

スポーツ振興センターへの不服審査請求ができる期間は、「当初の障害等級の認定の事実を知った日の翌日から起算して60日」です。(給付決定に関する不服審査請求規程第3条1項)

この60日の間に、新たな証拠を揃え、不服審査請求を行わなければなりません

 

障害診断書というのは、医師にのみ作成が許されている書類です。

医学的な事項に関して、弁護士より医師が詳しいことは言うまでもありませんから、

その医師が作成した障害診断書の訂正をお願いするというのは、医師の機嫌を損ねかねないことです。

ですので障害診断書の訂正をしていただく際には、小杉法律事務所では原則医師と面談を行い、ご納得いただいた上で訂正していただくようにしています。

 

しかし今回の場合60日という期限が迫っていますから、面談ではなく医療照会という形で、ご訂正を頂きました。

幸い医師は「自覚症状についての記載であれば訂正可能です」と言ってくださり、

Eさんの自覚症状について「常時首が痛む」といった旨の記載に訂正してくださいました。

 

弁護士名義の意見書作成

無事、障害診断書を訂正していただくことに成功しましたが、それだけでは障害等級の変更がなされるか不透明であったため、

弁護士名義の意見書も添えることにしました。

 

なぜ障害等級の変更がなされるか不透明であったかというと、一言で言うと、スポーツ振興センターが障害等級認定のプロではないからです。

上で述べたように、学校事故のスポーツ振興センターにおける障害等級の判断は、

労災事故の労働局における障害等級の判断や、交通事故の自賠責損害調査事務所における後遺障害等級の判断とほぼ同じです。

しかし、日々大量の事案を処理している労働局や自賠責損害調査事務所の調査員と比べると、

スポーツ振興センターの調査員は専門性が劣ります。

スポーツ振興センターから出される認定理由の中には、障害等級認定の要件を理解していないのではないかと思われるものもあります。

今回のEさんの事例でいうと、首や腰といった、日常生活動作において頻繁に動かさざるを得ない部位の痛みに関しては、

常時痛ではなく、可動時痛についても後遺障害等級の認定の対象にするという運用が、労災事故や交通事故では一般的です。

しかし、今回は可動時痛であることを理由に障害等級非該当の判断が下されていました。

 

このように、スポーツ振興センターへの不服審査請求の場合は予想外の判断が下される可能性がありますので、

障害等級の認定の要件を熟知した弁護士が意見書を添付することが有効です。

 

作成した意見書の中で、常時痛であること、仮に常時痛でなくても可動時痛であっても認定の対象とされるべきことを述べました。

また、10代のむち打ち症は完治することがほとんどであり、障害等級認定がされないことが多いことを踏まえ、

今回のEさんの事例では、本件学校事故の態様や、Eさんの治療状況・症状経過などについて触れ、

Eさんの首の痛みは完治せず、後遺症として残存するという主張を行いました。

 

不服審査請求により障害等級第14級の9が認定!

スポーツ振興センターへの不服審査請求の結果、判断が覆され、Eさんの首の痛みに障害等級第14級の9が認定されました!

障害等級表から、障害等級第14級の9に対する障害見舞金は82万円(通学中及びこれに準ずる場合の学校事故は半額の41万円)とされています。(平成31年3月31日以前)

Eさんの学校事故は学校内の授業中における事故ですので、満額の82万円を受け取ることができました。

 

依頼者の声(Eさん 10代・女性・中学生及びご家族)

学校事故を専門に取り扱っている弁護士があまり見つからず、相談しても的確な回答を得られず困っていましたが、

小杉弁護士はとても分かりやすく今後の流れや方針を教えて下さり、安心感がありました。

損をするリスクがあることも十分ご説明していただいた上で、納得して依頼することができました。

結果として、娘の首の痛みに障害等級が認定され、親としては娘が納得する形になったことが、最も嬉しかったです。

小杉弁護士に依頼して本当に良かったと思います。

 

弁護士小杉晴洋によるコメント:スポーツ振興センターに対する障害等級の申請は被害者側専門の弁護士に任せましょう

何度も申し上げているように、学校事故のスポーツ振興センターにおける障害等級の判断は、

労災事故の労働局における障害等級の判断や、交通事故の自賠責損害調査事務所における後遺障害等級の判断とほぼ同じです。

ですが、労働局の障害等級判断や、自賠責損害調査事務所の後遺障害等級判断のように、

厳格に要件を満たしているかが見られたり、書面の記載が絶対の効力を持つような判断はされていないように思われます。

だからこそ、弁護士の意見が障害等級認定の判断により大きな影響を与える可能性があります。

ですので、スポーツ振興センターへの障害等級の申請は、要件を熟知した学校事故被害専門弁護士に依頼するのがおすすめです。

 

スポーツ振興センターから障害等級の認定を受けた方はこちらのページ

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この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。