修学旅行のスキーの際の事故で、被害生徒の過失0で勝訴した事例
Fさん(高校生)
修学旅行のスキーの際の事故で、被害生徒の過失0で勝訴した事例
解決事例のポイント
修学旅行のスキーの際の事故で、加害生徒とインストラクターの過失を認めさせ、被害生徒の過失0で勝訴和解
事案の概要
この件は、高校の修学旅行でスキーに行った際、スキー初心者のAさんに、同じくスキー初心者のBさんが衝突してしまった事例です。
Aさんは、インストラクターの指示により滑り始めましたが、ある程度滑ったところで転倒してしまいます。
ところが、インストラクターはAさんが転倒しているにもかかわらず、Bさんに滑走の指示を出し、Bさんも滑り出してしまいました。
Bさんは、Aさんが転倒していることを認識していましたが、避ける技術がなかったため、Aさんにそのまま衝突してしまい、Aさんは脚を負傷してしまいました。
Aさんは、その後の修学旅行を中断せざるを得なくなり、また、部活動も休部を余儀なくされてしまいます。
加害生徒や学校やインストラクターの側から、特段、補償などの話もなかったことから、Aさんの親御さんが法律相談に来られ、依頼を受けることになりました。
示談交渉の決裂
Aさんの治療が終わったのちに、Bさん側やインストラクター側に慰謝料などの損害賠償請求を行いましたが、両者とも、Aさんが勝手に転倒したことに起因する事故で遭ってBさんやインストラクターには責任は無いとの回答であったため、示談交渉は決裂してしまいます。
そこで、Aさんの親御さんとも相談の上、福岡地方裁判所へ提訴することにしました。
福岡地方裁判所 被害生徒の過失なしで解決
裁判では、あらゆる角度からの証拠を固め、損害賠償請求をしていきました。
まず、お医者さんと医師面談をして、どのようなぶつかり方をしてAさんの傷害結果が生じたのかを証拠化しました。
また、スキー協会やインストラクター協会に問い合わせをし、初心者に対するスキーの指導方法を証拠化し、本件におけるスキーインストラクターの指導方法が初心者に対する一般的な指導方法と逸脱していたことを立証していきまいた。
そして、スキー事故に関する裁判例の調査を行い、最高裁判例の考え方は、「スキー場において上方から滑走する者は、前方を注視し、下方を滑走している者の動静に注意して、その者との接触ないし衝突を回避することができるように速度及び進路を選択して滑走すべき注意義務を負う」としていて(最高裁判所平成7年3月10日判決 判例時報1526号99頁)、衝突事故においては上から滑ってきた者が原則的に責任を負うとされていることをベースに主張を展開しました。ただし、下方滑走者が転倒している場合などは、下方滑走者にも過失が取られてしまうケースもあるため、他の裁判例や、本件の独自性の主張を展開し、Aさんには過失がないことを立証していきました。
そうしたところ、本件のスキー事故は、スキーインストラクターとBさんの過失によるもので合って、Aさんには一切の過失がないとの裁判所の判断を得ることができました。
弁護士小杉晴洋によるコメント:スキーやスノーボードでの事故は被害者側専門の弁護士へご相談ください
修学旅行中の事故、スポーツ中の事故などは、加害者や学校やインストラクターなどが責任を認めないことが多くあります。
もちろんすべてのケースで損害賠償請求が認められるわけではありませんが、本件のように、被害者側の責任が一切ないとする判断が得られることもあります。
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