【学校事故解決事例-体罰】暴行をした教師から謝罪をさせ、スポーツ振興センターの見舞金とは別に、学校と500万円で示談解決した事例
Eさん(男性・高校生)
【学校事故解決事例-体罰】暴行をした教師から謝罪をさせ、スポーツ振興センターの見舞金とは別に、学校と500万円で示談解決した事例
解決事例のポイント
①医師面談を実施して申請書類を整え、スポーツ振興センターから耳漏による障害等級準用14級の認定を獲得
②体罰であることを慰謝料増額事由として認めさせ、スポーツ振興センターの見舞金とは別に損害賠償金500万円を獲得
事案の概要
高校生のBくんは、同級生のCくんとともに教室の掃除当番でしたが、二人でじゃれあいながら掃除を行っていました。
この態度に腹を立てた教師が、Bくんの左頬を思い切り平手打ちします。
Bくんは、これにより左外傷性鼓膜穿孔及び外傷性亜脱臼(歯牙)の傷害を負ってしまい、左の鼓膜が破けてしまいます。
なんとか耳が聞こえなくなるなどの後遺症は残らずに済みましたが、Bくんの左耳からは液体が漏れ出てくるといった症状(耳漏)が残ってしまいます。
Bくんのご両親は、掃除のさいちゅうにふざけていたことについては子供に落ち度があるかもしれないが、だからといって教師が鼓膜が破れるほどに殴る必要があるのかなど疑問に思い、弁護士に相談してみることにしました。
法律相談
体罰は当然許されるものですし、昭和的な価値観をもとに考えたとしても、本件の殴打行為は行き過ぎですので、これは学校側に損害賠償請求を求めていった方が良い事案であると回答しました。
そして、損害賠償請求を求めるためには損害額を確定させなければなりませんが、そのためにまずスポーツ振興センターに障害等級の認定をしてもらう必要があると説明しました。
耳の障害等級というのは、主に聴力障害と耳殻(介)の欠損障害に分けられますが、Bくんの症状は、等級に定めのない障害である「耳漏」に該当する可能性があると考え、ひとまず主治医のもとに医師面談に行ってみるという方針をとることにしました。
医師面談の実施によりスポーツ振興センターより障害等級準用14級獲得(耳漏)
医師面談を実施したところ、外傷性による耳漏であり、これは後遺症として残存するとの意見を得ることができたため、この医学的見解を元にスポーツ振興センターへの申請書類を作成しました。
そうしたところ、見立てどおり、等級に定めのない障害である「耳漏」に該当するとの判断がなされ、障害等級準用14級の認定となりました。
500万円の示談解決
交通事故の場合でも後遺障害等級14級というのは、損害賠償額の相場が300万円程度とされています。
そして、被害者が子供の場合は、「仕事ができなくなった」ことの損害賠償(休業損害・逸失利益)が認められないので、主たる損害費目は慰謝料だけとなり、損害賠償額が100万円~200万円程度に制限されることが多いです。
ただし、Bくんのケースというのは、うっかり怪我をさせてしまったという過失事案ではなく、教師による殴打行為(体罰)という故意事案(わざと怪我をさせる事案)ですので、損害賠償水準が過失犯の場合と同じでよいはずがありません。
そこで、この点を指摘して、学校側と示談交渉を行いました。
また、Bくんの親御さんは、損害賠償額にはあまり関心はありませんでしたが、学校側の謝罪を強く求めていらしたので、示談書の条項に謝罪文言を入れることも要求していきました。
そうしたところ、こちら側の主張が認められ、損害賠償額は500万円となり、また、示談書の条項に謝罪文言も入れるということで示談解決となりました。
また、示談書に謝罪文言を入れるだけではなく、実際に、校長と暴行をした教師とがBくん及びBくんの親御さんに対して謝罪もしてくれました。
弁護士小杉晴洋によるコメント:学校側の体罰に対しては弁護士を立てて損害賠償請求をしましょう
体罰は許されるものではありません。
教師による体罰の必要性については、賛否あるかもしれませんが、少なくとも後遺症が残ってしまうような体罰の必要性を訴える方はほとんどいないと思われます。
学校というのは、私立学校・公立学校問わず、責任をなかなか認めない組織です。
こうした学校の態度に対しては、被害者側専門の弁護士を立てて、損害賠償請求をしていった方が良いケースというのがあります。
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